不動産用語集
あ行
一戸建て
独立した一軒の家屋がひとつの住戸となっている住宅。「戸建て」も同じ意味である。これに対して、複数の住戸で構成される建物を「集合住宅」「共同住宅」という。
内法
建物の床面積を測定する際に壁の厚みを考慮せず、壁の内側の部分の面積だけを「床面積」とする考え方のことである。
不動産登記法では、分譲マンションなどの区分所有建物を登記する場合には、この内法の考え方で床面積を計算することとされている(不動産登記規則第115条)。
この反対に、建物の床面積を測定する際に、壁の厚みの中心線を想定し、この中心線に囲まれた面積を「床面積」とする考え方のことを「壁心(へきしん・かべしん)」という。
ちなみに建築基準法では、建築確認を申請する際には、建物の床面積はこの壁心の考え方で測定することとしている(建築基準法施行令第2条第1項第3号)。
従って、分譲マンションなどの区分所有建物については、建築確認を申請する際には床面積を「壁心」で求めるが、その後に登記をする際には床面積を「内法」で求めているのである。
売建住宅
開発した宅地を分譲する際に、同時に宅地の購入者がその宅地に建設する住宅を分譲事業者に発注する方法で建てられた住宅をいう。
「建売住宅」の建築主は不動産会社であるのに対して、「売建住宅」の建築主は宅地の購入者である。建売住宅に比べて設計などの自由度は高いが、建築を請け負う業者はあらかじめ決められている他、用意された建物の設計モデルから選択して発注することが多い。
なお、宅地分譲の方法は、大きく、宅地のみの分譲(更地分譲)と住宅付の分譲(建売分譲)に分かれるが、売建住宅はその実態を照らせば後者の類型に近いと考えてよい。また、宅地分譲の際に一定期間内に住宅を建設することを条件とする方法(建築条件付宅地分譲)があるが、売建住宅はこの方法の一つでもある。
液状化
地震の際に地盤が液体状態となる現象をいう。
水分をたくさん含んだ砂質の地盤で発生する。
地震による強い振動によって砂粒の間にある水分の圧力(間隙水圧)が高まり、砂粒の動きが自由になるために生じる。その結果、地上構造物の沈下や倒壊、地中構造物の浮き上がり、地盤の水平方向への移動(側方流動)、水と砂の吹き上げ(噴砂)などが起きる。
新潟地震(1964)でその発生が確認され、その後、阪神・淡路大震災(1995)や新潟県中越地震(2004)でも発生した。また、東日本大震災(2011)では、千葉県浦安市をはじめ広範囲に発生し、大きな被害をもたらした。
なお、液状化あるいはそれによる被害を防ぐための工法が開発されている。
か行
開口部
壁・床・屋根に設けられた開口部分のこと。窓、出入口、天窓などを指す。
買取再販
既存住宅を買い取り、リフォーム工事を実施した上で販売する事業形態をいう。
買取再販に当たって実施するリフォーム工事が、大規模な修繕工事、耐震改修、バリアフリー改修、省エネ改修など一定の要件に該当する場合には、当該既存住宅の取得に係る登録免許税の軽減措置および、不動産取得税の軽減措置が講じられている。
建築確認
建築主事は、建築確認の申請を受理してから、一般の建築物については7日以内に、一定の特殊な建築物または大規模な建築物については原則として35日以内に、申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し、審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認した場合には、建築主に文書(確認済証)を交付することとされている。
また、建築計画が法令に適合しないと認めたとき又は申請書の記載によつては建築基準関係規定に適合するかどうかを決定することができない正当な理由があるときは、7日又は35日以内に、その旨及びその理由を記載した通知書を建築主に交付することになる。
なお建築主は、確認の期限を過ぎた場合であっても、確認済証の交付を受ける前には、工事に着手することはできない。
建築基準法
国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めた法律。市街地建築物法(1919(大正8)年制定)に代わって1950(昭和25)年に制定され、建築に関する一般法であるとともに、都市計画法と連係して都市計画の基本を定める役割を担う。
遵守すべき基準として、個々の建築物の構造基準(単体規定、具体的な技術基準は政省令等で詳細に定められている)と、都市計画とリンクしながら、都市計画区域内の建物用途、建ぺい率、容積率、建物の高さなどを規制する基準(集団規定)とが定められている。また、これらの基準を適用しその遵守を確保するため、建築主事等が建築計画の法令適合性を確認する仕組み(建築確認)や違反建築物等を取り締まるための制度などが規定されている。
その法律的な性格の特徴は、警察的な機能を担うことであり、建築基準法による規制を「建築警察」ということがある。
建築協定
敷地や建築物に関する民間の協定であって、特定行政庁(知事・市長など)の認可を受けたもののこと。
1.建築協定の意義
建築協定では、ある地域の土地所有者等の全員が合意することにより、「敷地の最低面積」「敷地境界線からの外壁の後退距離の最低限度」「建築物の耐火性」「建築物の用途」「建築物の階数」「建築物の色彩や意匠」「設備の設置場所」などを非常にきめ細かく規制し、統一することができる。このため、建築協定により統一的な良好なまち並みが形成され、環境が保全されるというメリットがある。
同じようなきめ細かい法的規制である地区計画は、都市計画の決定手続を経なければならないのに対して、建築協定は住民の合意という比較的簡便な手続きで設定できる点も特徴である。
なお、「一人協定」の制度が新設されてからは、宅地分譲業者などが建築協定を最初に設置できるようになったため、さらに使いやすくなっている。1996(平成8)年には、建築協定に不参加のエリアも事後的に協定に参加するための簡便な手続きとして「建築協定区域隣接地」の制度が導入されている。
2.建築協定を締結する手続き
建築協定は、その地域内の土地所有者と借地権者の全員の合意により協定書を作成して、公開による意見聴取を経て、特定行政庁の認可を受けることにより成立する(建築基準法第69条、第73条)。特定行政庁は、一定の基準に協定の内容が適合する場合には、必ず認可しなければならない(同法第73条第1項)。
ただし、借地権の目的となっている土地(いわゆる底地)については、その土地の所有者(いわゆる底地権者)の合意は不要とされている(同法第70条第3項)。建築協定の内容が建築物の借り主に関係するときは、建築物の借り主も合意に参加しなければならない(同法第77条)。
なお、建築協定を締結する前提として、市町村が建築協定の締結に関する条例を設けていることが必要である(同法第69条)。
3.建築協定書の内容
建築協定書には、「建築協定区域」「建築物に関する基準」「建築協定の有効期間」「建築協定違反があった場合の措置」を必ず記載しなければならない(同法第70条1項)。
4.建築協定の効力
特定行政庁が認可の公告をした場合、その公告の日以後に土地所有者・借地権者となった者についても効力がある(同法第75条)。ただし、合意していない底地権者から底地権を引き継いだ者には効力がない(同法第70条第3項)。
5.一人協定
土地所有者が1人(借地権者もいない)であるとき、その唯一の土地所有者が特定行政庁の認可を受けることにより、建築協定を定めることができる(同法第76条の3第1項)。この認可を受けた建築協定は、3年以内にその土地に2人以上の土地の所有者等が存することとなったときから通常の建築協定となる(76条の3第5項)。この規定により、例えば宅地分譲業者が分譲前に建築協定を設定して、その後で宅地分譲することが可能とされている。
6.建築協定区域隣接地からの参加
「建築協定区域」に隣接する土地であって、建築協定区域内の土地所有者・借地権者が建築協定への将来的な参加を希望するような隣接する土地については、建築協定書において「建築協定区域隣接地」として定めることができる(同法第70条第2項)。
このような「建築協定区域隣接地」の区域内の土地所有者・借地権者は、全員の合意により、いつでも建築協定に加わることができる。建築協定に加わる意思表示をした「建築協定区域隣接地」は、「建築協定区域」の一部となる(75条の2第2項・3項)。
7.建築協定の変更と廃止
建築協定を変更するには、合意した土地所有者・借地権者の全員の同意が必要。建築協定を廃止するには、合意した土地所有者・借地権者の過半数の合意が必要。変更も廃止も、特定行政庁の認可を受けなければならない(同法第74条・第76条)。
建築許可
市街化調整区域での建築であって、開発行為を伴わないものに対する建築の許可をいう。
市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域であるから、建築は原則的に禁止されている。ただし、次のような場合には、建築を行なうことができる。
1.開発行為(土地の区画形質の変更)を行なうための許可(開発許可)を受けた区域内で行なう、開発許可条件に適合する建築
2.開発行為を伴わない建築で、都道府県知事の許可を得て行なう建築(都市計画法第43条)(この場合の都道府県知事の許可が「市街化調整区域における建築許可」)
市街化調整区域における建築許可は厳しく運用されていて、開発許可区域以外の区域で建築(改築、用途変更を含む)を行なえるは、次のものに限られている。
1)建築許可を要しない建築
ア.農産物、林産物または水産物の生産、または集荷の用に供する建築物(畜舎、蚕室、温室、育種苗施設など)およびこれらの業務を営む者の居住の用に供する建築物の建築
イ.公益上必要な建築物(鉄道の施設、社会福祉施設、医療施設、学校教育法による学校など)であって、適正合理的な土地利用および環境保全上支障がない建築物の建築
2)建築許可を受けることのできる建築
ア.都市計画事業の施行として行なう建築物の建築
イ.非常災害のため必要な応急措置として行なう建築物の建築
ウ.仮設建築物の新築
エ.通常の管理行為、軽易な行為として行なう次のもの
a.既存の建築物の敷地内において行なう車庫、物置その他これらに類する附属建築物の建築
b.建築物の改築または用途の変更で当該改築、または用途の変更に係る床面積の合計が10平方メートル以内であるもの
c.周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらの業務の用に供する建築物(その延べ面積が50平方メートル以内のものの新築で、当該市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行なうものに限る)
d.土木事業その他の事業に一時的に使用するための第一種特定工作物の新設
建築構造
「荷重や外力に対抗するために必要な部分の組み合わせ」のことである。
端的にいえば、建築構造とは「建物の骨組」のこと。
建築条件付き土地
建て売りといえば、土地とそこに立つ住宅がセットで販売されるものだが、建築条件付き土地の場合は、売り建てともいうように、土地を売るに当たって、一定期間内に売主または売主が指定する者との間で当該土地に建物を建築する請負契約を結ぶことを条件にしている。指定期間内に建築請負契約が締結されない場合は、契約は白紙解除となり、預かり金などは全額返還される。
建築物
建築基準法では「建築物」という言葉を次のように定義している(建築基準法第2条第1号)。
これによれば建築物とは、およそ次のようなものである。
1.屋根と柱または壁を有するもの
2.上記に付属する門や塀
3.以上のものに設けられる建築設備
上記1.は、「屋根+柱」「屋根+壁」「屋根+壁+柱」のどれでも建築物になるという意味である。
なお、地下街に設ける店舗、高架下に設ける店舗も「建築物」に含まれる。
建ぺい率
敷地面積に対する建築面積(建物の水平投影面積)の割合(%)。
例えば、敷地面積が100平方メートル、その敷地上にある住宅の建築面積が50平方メートルならば、この住宅の建ぺい率は50%ということになる。
建物の建ぺい率の限度は、原則として、用途地域ごとに、都市計画によってあらかじめ指定されている。
さ行
敷居
開口部の下部に設けられる水平材。門の内外を仕切ったり、部屋を区切るために敷く横材で、同時に建具を受ける役目もする。
建具の受け方は、戸の開閉形式によって異なり、レールを上に設けたり、溝を彫る等の手法がある。略して「敷き」とも。
敷金
建物の借主が、賃料その他賃貸借契約上の債務を担保するため、貸主に交付する金銭をいう。
敷金は、契約が終了した場合に、未払賃料等があればこれを控除したうえで借主に対して退去後に返還される。
敷地面積
修繕積立金
管理組合が管理費とは別に共用部分や付属施設などの修繕を目的とした長期計画に従って修繕を実施するために、区分所有者から毎月徴収した金銭を積み立てたものである。
管理費と同様、一般的に専有部分の専有部分の面積の割合で月額料金が定められている。
省エネ基準
建築物の使用によって消費されるエネルギー量に基づいて性能を評価する場合に、その基準となる性能をいう。「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)に基づいて定められている。法令上の用語は「建築物エネルギー消費性能基準」である。
省エネ基準は、(A)一次エネルギー消費量に関する基準、(B)外皮熱性能に関する基準の二つから構成されている。
(A)一次エネルギー消費量に関する基準
すべての建物についての基準で、一定の条件のもとで算出した、空調、照明、換気、給湯等の諸設備のエネルギー消費量および太陽光発電設備等によるエネルギーの創出量
(B)外皮熱性能に関する基準
住宅についての基準で、一定の条件のもとで算出した、外壁や窓の外皮平均熱貫流率(単位外皮面積・単位温度当たりの熱損失量)および冷房期の平均日射熱取得率(単位外皮面積当たりの単位日射強度に対する日射熱取得量の割合)であって、地域の区分に応じて定める
(注:非住宅建築物についても外皮熱性能に関する基準が定められているが、これは、建築物省エネ法上の「建築物エネルギー消費性能基準(省エネ基準)」とはされていない。)
省エネ基準は、建築物省エネ法による次のような規制、指導、表示などにおいて、その判定、指示、認定等の基準となっている。
(1)適合義務
一定規模以上の非住宅建築物は、新築時等に、一次エネルギー消費量に関する省エネ基準に適合しなければならず、基準不適合の場合には、建築確認を受けることができない。
(2)届出義務
一定規模以上の建築物(住宅、非住宅建築物)について、新増改築時に、エネルギー消費性能の確保のための構造および設備に関する計画を届け出なければならず、省エネ基準に適合しない場合には、必要に応じて指示・命令がなされる。
(3)エネルギー消費性能の表示
建築物の所有者は、その建築物が省エネ基準に適合することの認定を受け、その旨を表示することができる。
なお、建築物のエネルギー消費性能に関する基準には、省エネ基準のほか、次のものがある。
ア)住宅トップランナー基準
住宅事業建築主に対して、その供給する建売戸建住宅の省エネ性能を誘導する際に適用する基準
イ)誘導基準
省エネ性能向上計画の認定を受けて容積率の特例を受ける際の基準
セットバック
2項道路(建築基準法第42条第2項の規定により道路であるものとみなされた幅4m未満の道のこと)に接する場合において、建物を建築・再建築する際、道路の中心線から2mとなるよう敷地の一部を後退させることをいう。
なお、セットバックした部分は道路とみなされ、建物を建築することはできない。
た行
仲介手数料
宅地建物取引業者を通して不動産を売ったり買ったり、あるいは貸したり借りたりする場合に、媒介契約にもとづき、宅地建物取引業者に成功報酬として支払うお金のこと。
媒介手数料(媒介報酬)ともいう。
定期借家契約
平成12年3月1日の改正法施行により、借家契約時に貸主が「期間の満了により契約が終了する」ことを借家人に対して、公正証書などの書面を交付して説明する場合には、賃貸期間が終了すると借家契約も終了し、借家人は退去しなければならないとする契約。
原則として契約の更新はできず、再契約には貸し主・借家人双方の合意が必要である。
テラスハウス
2階建ての連棟式住宅のことをいう。
隣家とは共用の壁で連続しているので、連棟建て、長屋建てともいわれる。
各住戸の敷地は、各住戸の単独所有となっている。
道路幅員
な行
延べ面積
延床面積
は行
ビルトイン
あらかじめ壁面などに組み込んで用いられる方式、すなわち造り付けのこと。
ビルトインエアコン、ビルトインクローゼットなどがよく見られる。室内における出っ張りを減らし、すっきりと美しく納めることができる。
壁心
法定敷地
ら行
立面図
礼金
建物の賃貸借契約を締結する際に、借主から貸主に対して、謝礼として支払われる金銭をいう。
契約が終了しても通常、借主に返還されない。